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【ネタバレ解説】HUNTER×HUNTER 王位継承戦編|クラピカと14人の王子が挑む船上サバイバル
導入部分
会長選挙編でゴンとジンの物語が一区切りした後、HUNTER×HUNTERは一気に別の漫画のような密度へ進みます。暗黒大陸・王位継承戦編は、未知の大陸を目指す国家プロジェクトと、カキン帝国の王子たちによる後継者争いが同時に走る長大な章です。
主役の中心に立つのはクラピカ。第四王子ツェリードニヒが緋の眼を所有していると知った彼は、第十四王子ワブルの護衛として巨大船ブラックホエール号に乗り込みます。そこで待っているのは、14人の王子、守護霊獣、各王妃の思惑、マフィア抗争、幻影旅団とヒソカの殺し合い。情報量が多いぶん、一つひとつ整理すると恐ろしく面白い章です。
この記事でわかること
- 暗黒大陸行きとカキン王位継承戦の基本構図
- クラピカがワブル王子を守る理由
- 守護霊獣と念講習が生む緊張感
- ツェリードニヒ、ベンジャミン、カミーラら王子の危険度
- 幻影旅団とヒソカが船内で交差する意味
読了時間:約13分 | おすすめ度:★★★★★(情報量の怪物みたいな最新章)
基本情報
【暗黒大陸・王位継承戦編 基本情報】
- 収録:単行本32巻以降
- 主要キャラ:クラピカ、レオリオ、チードル、ジン、ビヨンド=ネテロ、ナスビ=ホイコーロ、カキン帝国の14王子、幻影旅団、ヒソカ
- 舞台:ブラックホエール号
- 核となるテーマ:王位継承、権力、血統、念能力の情報戦、復讐と護衛の両立
あらすじ
※ここから先、暗黒大陸・王位継承戦編のネタバレを含みます。
暗黒大陸への出航
カキン帝国の国王ナスビ=ホイコーロは、人類が長く禁忌としてきた暗黒大陸への進出を宣言します。その責任者として現れたのが、ネテロ前会長の息子を名乗るビヨンド=ネテロでした。
ハンター協会はV5からの依頼を受け、ビヨンドの監視と暗黒大陸攻略に関わることになります。チードル体制となった十二支んには、レオリオとクラピカも加入。ここで物語は、冒険ものとしてのスケールを一気に外の世界へ広げます。
クラピカとワブル王子
クラピカは、カキン第四王子ツェリードニヒがクルタ族の緋の眼を所有していると知ります。接触のために王子たちの護衛募集へ入り、第十四王子ワブルとその母オイト王妃の護衛に就きます。
ワブルはまだ赤子で、王位継承戦では最も弱い立場です。クラピカは本来、緋の眼を取り戻すために船に乗りました。しかし目の前の赤子と母親を守るうち、彼の目的は「復讐」と「護衛」の間で揺れ始めます。
守護霊獣と王子たちの殺し合い
王位継承戦は、ただの政治的な後継者争いではありません。壺中卵の儀によって、各王子には守護霊獣が憑きます。王子本人が自覚しないまま、その性質や欲望を反映した念獣が動き、他王子や護衛に影響を及ぼしていくのです。
第一王子ベンジャミンは軍事力を背景に正面から制圧を狙い、第二王子カミーラは死後の念を用いた異様な能力を見せます。そして第四王子ツェリードニヒは、念の才能と残虐性を兼ね備えた最悪の存在として急速に成長していきます。
念講習というクラピカの作戦
クラピカは、ワブル陣営を守るために念講習を開きます。表向きは各陣営の護衛たちに念の基礎を教える場ですが、実際には情報を集め、敵の行動を抑え、ワブル陣営に時間を稼ぐための作戦です。
この講習が面白いのは、バトル漫画なのに「説明すること」自体が戦いになっている点です。念を知る者と知らない者、嘘をつく者と見抜く者、能力を隠す者と探る者。会話の一つひとつが攻防になっています。
幻影旅団とヒソカの船内戦
同じブラックホエール号には、カキンの国宝を狙う幻影旅団も乗り込んでいます。天空闘技場でクロロに敗れたヒソカは、死後強まる念で蘇生し、旅団員全員を標的にすると宣言しました。
旅団はヒソカを探しながら、船内のマフィア抗争にも巻き込まれていきます。クラピカの復讐対象である旅団が、同じ船内にいる。この構図だけでも爆発寸前なのに、王位継承戦、マフィア、ヒソカという別の火種まで重なっている。まさに密室群像劇です。
この編の見どころ
見どころ1:クラピカが主役に戻る緊張感
ヨークシン編以来、クラピカは物語の中心からしばらく離れていました。王位継承戦編では、そのクラピカが再び主役級の位置に戻ります。
ただし、彼はもう若さだけで突っ走る復讐者ではありません。緋の眼を取り戻したい。旅団にも向き合わなければならない。けれど、ワブルとオイトを見捨てることもできない。目的が一つではなくなったクラピカの苦しさが、この章の大きな軸です。
見どころ2:念能力が情報戦として進化している
天空闘技場やヨークシンでは、念は戦闘能力として描かれることが多くありました。しかし王位継承戦編では、念はもっと複雑な情報戦の道具になります。
- 能力を知られたら負ける
- 相手の制約を推理する
- 死後の念まで計算に入れる
- 王子本人が能力を理解していない場合がある
- 護衛、王妃、従者の思惑が能力の運用に影響する
読んでいて疲れるほど複雑ですが、この複雑さこそHUNTER×HUNTERの現在地です。
見どころ3:ツェリードニヒの不気味さ
第四王子ツェリードニヒは、残虐性と知性と才能を併せ持つ危険人物です。しかも念の習得速度が異常で、彼が成長するほどクラピカにとって最悪の障害になります。
緋の眼を所有する人物であり、王位継承戦の有力候補であり、念能力者としても急速に進化する。クラピカの物語において、ツェリードニヒは単なる敵ではなく、復讐の終着点そのものを揺さぶる存在です。
見どころ4:ブラックホエール号という巨大な密室
この章の舞台は船です。逃げ場がなく、階層ごとに身分と情報が分断され、上層では王子たちが殺し合い、下層ではマフィアが抗争を起こす。巨大な船なのに、構造としては密室推理に近い。
誰がどこにいるのか。どの陣営が誰と繋がっているのか。情報が少しずつ開示されるたびに、盤面が変わります。読み返すほど伏線が見えるタイプの章です。
考察ポイント
クラピカは復讐から降りられるのか
クラピカは緋の眼を取り戻すために生きています。しかしワブルを守る時間が長くなるほど、彼は誰かの未来を守る側に立たされます。
王位継承戦編のクラピカは、「過去を取り戻すための復讐」と「未来を守るための護衛」の間にいます。この二つがぶつかった時、彼がどちらを選ぶのかが最大の焦点です。
王位継承戦は暗黒大陸編の前哨戦なのか
タイトル上は暗黒大陸へ向かう物語ですが、現時点で本当の舞台はまだ船内です。つまり、この章は暗黒大陸そのものではなく、そこへ到達する前に人間社会の欲望と権力が暴走する章とも読めます。
未知の大陸より先に、人間の内側の闇が描かれている。この順番がかなり冨樫義博らしいです。
まとめ
暗黒大陸・王位継承戦編は、HUNTER×HUNTERの中でも特に読む体力を求められる章です。14王子、念獣、護衛、王妃、十二支ん、ビヨンド、幻影旅団、ヒソカ、マフィア。要素が多く、展開も一筋縄ではいきません。
しかし、その複雑さを整理して読むと、クラピカの物語として非常に切実です。復讐者だった彼が、赤子の王子を守る立場に置かれる。その横で、緋の眼を持つツェリードニヒと、宿敵の幻影旅団が同じ船にいる。
いつ爆発してもおかしくない火薬庫のような章。これが完結した時、HUNTER×HUNTER全体の評価をさらに押し上げる可能性があります。
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