導入部分
「お前を愛している」――うちはイタチがサスケのおでこを突きながら告げた、最期の言葉。その意味を知ったとき、読者の多くが涙を禁じ得なかったはずです。
NARUTO疾風伝の中盤を彩る「暁討伐・イタチ真伝編」は、物語が一気に加速し、取り返しのつかない喪失が次々と押し寄せる、シリーズ屈指の転換点です。猿飛アスマの壮絶な戦死、シカマルの知略を尽くした復讐、天地橋でのサスケとの再会、自来也が命を賭けたペインとの死闘、そしてイタチとサスケの兄弟対決の果てに明かされるうちは一族の真実。11巻にわたって濃密なドラマが連鎖する、NARUTOの真髄ともいえるエピソード群です。
この記事でわかること
- 飛段・角都戦の全貌とアスマの死が持つ意味
- シカマルが「影」を使って師の仇を討つまでの道筋
- 自来也vsペイン――師匠が弟子に託した最後のメッセージ
- イタチvsサスケの決着と「うちは一族虐殺」の真相
- サスケが「鷹」を結成し新たな目的に向かう経緯
読了時間:約20分 | おすすめ度:★★★★★(師の死、兄の真実――涙なしには読めない珠玉の11巻)
基本情報
【暁討伐・イタチ真伝編 基本情報】
- 収録:単行本33巻〜43巻
- 主要キャラ:うずまきナルト、うちはサスケ、はたけカカシ、奈良シカマル、猿飛アスマ、サイ、ヤマト、自来也、ペイン(長門)、飛段、角都、デイダラ、大蛇丸、うちはイタチ、トビ(うちはオビト)
- テーマ:師弟の絆、復讐と赦し、兄弟愛、真実と犠牲、忍としての覚悟
- 舞台:火の国各地、雨隠れの里、うちはのアジト
あらすじ
※ここから先、暁討伐・イタチ真伝編の重大なネタバレを含みます
飛段・角都との激闘――アスマ、最後の煙草
暁のメンバー・飛段と角都が火の国に侵入し、守護忍十二士の懸賞首を狙って行動を開始します。第十班を率いる猿飛アスマは、飛段の「呪術・死司憑血」という恐ろしい能力――相手の血を舐めることで自分と相手の体をリンクさせ、自分が受けたダメージをそのまま相手に与える――に捕らわれてしまいます。
アスマは致命傷を負いながらも、最後の力で教え子たちに言葉を残します。シカマルには「お前は立派な忍になる」、いのには「アスマ先生のこと忘れないで」、チョウジには「お前は優しい忍だ」と。そして最後の一服を吸い終えることなく、アスマは息を引き取ります。
師を喪ったシカマルの慟哭。将棋の駒を握りしめながら、父・シカクに「俺が守りたかった”王”は誰だ」と問いかけ、アスマの遺志を理解するシーンは、NARUTOでも屈指の名場面です。
シカマルの復讐――天才の頭脳が仇を追い詰める
シカマルは飛段の能力を徹底的に分析し、綿密な作戦を練り上げます。チョウジ、いのとの連携で角都を分断し、飛段を奈良一族の森へ誘い込む。影縛りと起爆札の罠で飛段の体を完全にバラバラにし、深い穴の中に埋めてしまいます。不死身の飛段でも、体がバラバラの状態で地中に埋められては二度と動けない。師の仇を知略で完封するシカマルの姿に、読者は喝采を送りました。
角都はナルトの新術「風遁・螺旋手裏剣」によって倒されます。この術は自来也やカカシとの修行で完成させたもので、ナルトの成長を象徴する一撃でした。
天地橋の再会――サスケとの距離
ナルト、サクラ、サイ、ヤマトの第七班は、大蛇丸のアジトでサスケと再会します。しかし、サスケは里への帰還を完全に拒否。圧倒的な力の差を見せつけ、ナルトたちを退けます。
「お前を連れ戻す」というナルトの誓いは、まだ届きません。しかし、この再会がナルトにさらなる成長への決意を固めさせます。
サスケvs大蛇丸、そしてデイダラ戦
サスケは、自分の体を乗っ取ろうとする大蛇丸を逆に取り込み、大蛇丸を倒します。その後、水月、香燐、重吾を集めて小隊「蛇」を結成。目的はただ一つ――兄イタチを殺すこと。
イタチを探す過程で、暁のデイダラと遭遇。デイダラは芸術を爆発と信じる忍で、最終的に自らを起爆粘土に変えるC0(シーオー)を使って自爆します。しかし、サスケは写輪眼の幻術で回避し、生き残ります。
自来也vsペイン――師匠が命を賭けて遺したもの
物語はここから一気に重くなります。暁のリーダー・ペインの情報を探るため、自来也は単身で雨隠れの里に潜入します。
そこで待ち受けていたのは、かつて自分が忍術を教えた弟子――長門が操る六体のペインでした。自来也は仙人モードを発動し、六道の能力を次々と分析しながら戦います。妙木山のフカサクとシマの二大仙蝦蟇と共に戦い、一度は三体のペインを倒すことに成功しますが、六体全てが復活。
自来也は喉を潰され、右腕を失い、もはや声も出せない状態に追い込まれます。しかし、ペインの正体に関する重要な暗号をフカサクの背中に刻み、最後の力で「諦めない」というメッセージをナルトに託します。
「物語の結末はハッピーエンドがいい。自分ではダメだったが、ナルトならきっとやれる」――自来也はそう信じながら、雨隠れの海の底へ沈んでいきます。
NARUTOにおける師匠キャラの死として最も衝撃的で、最も感動的なシーンです。自来也が最期に浮かべた穏やかな表情、そして「ド根性忍伝」の主人公をナルトに重ねた回想は、何度読んでも胸が詰まります。
イタチvsサスケ――兄弟の宿命
そして、この編のクライマックスであるイタチとサスケの対決。
サスケは万華鏡写輪眼の力を駆使し、イタチの月読や天照に対抗します。壮絶な戦いの末、イタチは最後の力でサスケのおでこを突き――幼少期にいつもそうしていたように――微笑みながら倒れます。
戦いの後、トビ(うちはオビト)がサスケに「うちは一族虐殺の真実」を語ります。
イタチの真実:
- うちは一族はクーデターを計画していた
- 木ノ葉上層部(ダンゾウら)はイタチに一族の粛清を命じた
- イタチは里と弟サスケを守るため、自らの手で一族を滅ぼした
- その後、暁に潜入して里の情報を送り続けていた
- サスケとの最終決戦では、最初から負けるつもりだった
- イタチは不治の病に侵されており、サスケとの戦いで命を燃やし尽くした
全ては弟を守るため。里を守るため。一族の名誉を守るため。イタチは「裏切り者」の汚名を一身に背負い、孤独の中で死んでいったのです。
この真実を知ったサスケは、憎しみの矛先を木ノ葉の里に向けることになります。チーム「蛇」を「鷹」に改名し、木ノ葉を潰すという新たな目的を掲げます。
考察・テーマ分析
「師の死」が弟子に何を残すか
この編の大きなテーマは「師弟の絆」です。アスマの死はシカマルを、自来也の死はナルトを、大きく成長させます。
シカマルにとってアスマは、将棋の相手であり、人生の指導者でした。アスマが語った「守りたい”王”」の意味を理解したとき、シカマルは単なる天才少年から、守るべきものを持った大人の忍へと変わります。
ナルトにとって自来也は、父親代わりであり、忍としての師でした。自来也の死を受けて、ナルトは仙人モードの修行に挑むことになります。師が命を賭けて遺した情報と意志を引き継ぐ。それがナルトの次のステップでした。
「真実」は誰のためにあるのか
イタチの真実は、NARUTOにおける最大のどんでん返しの一つです。ここで問われるのは、「真実を隠すことは正しいのか」という問いです。
イタチは真実を隠し通しました。サスケに憎まれることを受け入れ、裏切り者として生き、死にました。それは「弟を守る」ためでしたが、結果的にサスケをさらなる闇へと導いてしまいます。
真実を知らされなかったサスケの怒りは、イタチ個人ではなく、彼にそれを強いた「システム」に向けられます。これは後のペイン来襲編、五影会談編へと繋がる重要な伏線です。
復讐の連鎖と断ち切る力
飛段・角都戦で描かれたシカマルの復讐は、「復讐」を肯定的に描いています。師の仇を討つことは、シカマルにとって必要な通過儀礼でした。しかし、サスケの場合は違います。イタチへの復讐を果たしたはずのサスケは、真実を知ることで新たな憎しみに囚われてしまう。
「復讐は何も生まない」のか、それとも「復讐にも意味がある」のか。NARUTOはこの問いに対して、一つの答えを出すことなく、物語を通じて読者に考えさせ続けます。
名シーン・名言
アスマの最後の言葉「お前に、玉(ギョク)を託す」
シカマルに将棋の「玉」の意味を託すアスマ。「玉」とは将棋における王のことであり、アスマが守りたかった「王」とは次世代の子供たち――つまりシカマルたちのことでした。この言葉がシカマルを奮い立たせ、復讐を成し遂げる原動力となります。
シカマルの涙「めんどくせえなあ…」
師の遺体の前で涙を流しながら、いつもの口癖をつぶやくシカマル。普段は感情を表に出さない彼が、この時だけは子供のように泣く。「めんどくせえ」という言葉に込められた万感の思いが、読者の涙腺を直撃します。
自来也の最期「諦めないド根性こそが忍だ」
自来也が命を賭けて貫いた信念。この言葉は自来也が書いた小説「ド根性忍伝」の主人公――ナルトの名前の由来でもあります。自来也の人生そのものが、ナルトへの贈り物だったのです。
イタチの「許せサスケ…これで最後だ」
おでこを突きながら告げるイタチの最後の言葉。幼い頃、いつも「また今度だ」と言って修行を断っていたイタチが、最期に同じ仕草で弟に別れを告げる。この反復が、兄弟の絆の深さと、イタチが背負った孤独の重さを痛烈に伝えます。
ナルトの慟哭――自来也の死を知って
訃報を聞いたナルトが、アイスキャンディーを握りしめたまま呆然とするシーン。そして一人きりになったベンチで、溶けていくアイスと一緒に涙を流す。派手な泣き方ではない、静かな慟哭だからこそ、ナルトの喪失感がリアルに伝わってきます。
まとめ
暁討伐・イタチ真伝編は、NARUTOという作品が「少年漫画」の枠を超えた瞬間を多数含む、疾風伝の核心部分です。
アスマの死と、それを乗り越えるシカマルの成長。自来也の壮絶な最期と、師匠が弟子に託した意志。イタチの真実という衝撃の真相。そしてサスケが新たな闇へと堕ちていく悲劇。全てが連鎖し、物語を次のステージへと押し上げます。
特に自来也の最期は、少年漫画の歴史に残る名場面です。弟子であるナルトを信じ、未来を託して沈んでいく姿は、「師匠」というキャラクターの理想形を示しています。
次のペイン来襲編では、自来也が命を賭けて遺した情報を手掛かりに、ナルトが仙人モードを習得し、師の仇であるペインと対峙します。喪失の先にある「成長」と「継承」の物語が、いよいよ始まります。
この編を読むなら
まず試し読み、気に入ったら巻別購入かまとめ買いでチェック
全巻まとめ買い
NARUTO 全72巻まとめ買い
一気読みしたい人向けのまとめ買いリンクです。
NARUTO 33巻
NARUTO 34巻
NARUTO 35巻
NARUTO 36巻
NARUTO 37巻
NARUTO 38巻
NARUTO 39巻
NARUTO 40巻
NARUTO 41巻
NARUTO 42巻
NARUTO 43巻
※ 上記リンクから購入すると、サイト運営の支援になります。価格は各ストアにてご確認ください。
