導入部分
「退くな。一歩も退くな。我々が退けば、この蕞の先には咸陽がある。国が、滅ぶ」――秦王・嬴政が、身を挺して民の前に立つ。その声は震えていたかもしれない。しかし、その目には一切の迷いがなかった。
原泰久が『週刊ヤングジャンプ』で2006年から連載する『キングダム』は、春秋戦国時代の中華を舞台に、天下の大将軍を目指す信と、後に始皇帝となる嬴政の物語を描く大河漫画です。累計発行部数1億2000万部を超え、2013年には手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞した本作の中で、多くのファンが「最高のエピソード」と称するのが、この「合従軍編」です。
単行本24巻から33巻にかけて展開される合従軍編は、趙の天才軍師・李牧が主導する六国連合軍が秦国に総攻撃を仕掛けるという、作品最大規模の防衛戦です。函谷関での壮絶な攻防、そして首都・咸陽の目前に迫った敵を迎え撃つ蕞での死闘。国家存亡の危機に、将も兵も、そして王自らが立ち上がる姿は、キングダムの全エピソードの中でも頂点に位置する名編と言えるでしょう。
✓ この記事でわかること
- 李牧が組織した六国連合軍の全容
- 函谷関の防衛戦における各戦線の攻防
- 蒙武vs汗明、騰の奮戦、麃公の活躍
- 李牧別動隊による蕞急襲の衝撃
- 嬴政が自ら蕞で民を鼓舞して戦う歴史的名シーン
- 麃公の壮絶な最期と龐煖との戦い
- 楊端和の山の民による劇的な援軍到着
📖 読了時間:約22分 | おすすめ度:★★★★★
基本情報
【合従軍編 基本情報】
- 収録:単行本24巻〜33巻(第261話「嵐の兆し」〜第355話「特別功」)
- 連載誌:週刊ヤングジャンプ(2006年〜連載中、既刊78巻)
- 作者:原泰久
- 主要キャラ:信、嬴政、李牧、蒙武、騰、麃公、桓騎、王翦、蒙恬、楊端和、龐煖、汗明、春申君
- 核となるテーマ:国家存亡、王の覚悟、民と王の絆、犠牲と希望
- 受賞歴:第17回手塚治虫文化賞マンガ大賞(2013年)
あらすじ
⚠️ ここから先、合従軍編の重大なネタバレを含みます
李牧の謀略――六国連合の結成
山陽攻略戦で魏から領土を奪い、着々と力を蓄える秦国。その膨張に危機感を抱いたのが、趙国の天才軍師・李牧でした。
李牧は、秦を単独で倒すことは不可能だと冷静に分析します。しかし、中華の全ての国が手を結べば話は別だ。李牧は各国に使者を送り、趙、魏、韓、燕、楚の五国による「合従軍」の結成に成功します。斉は参加を拒みましたが、五国だけでも総兵力は60万を超える大軍。春秋戦国時代においても類を見ない規模の連合軍が、秦国に向けて動き出したのです。
合従軍の総指揮を執るのは楚の宰相・春申君。そして実質的な作戦立案を担うのが李牧です。各国の精鋭が集結し、それぞれの国の最強の将が参戦する。秦国にとって、建国以来最大の危機が訪れました。
各国の参戦将軍
合従軍に参加する将軍たちは、いずれも一騎当千の猛者揃いです。
趙からは李牧自身が参戦し、武神・龐煖が戦力として加わります。龐煖は「武神」の名に恥じない個の武力を持ち、将軍を一騎討ちで討ち取ることに特化した異形の武人です。
楚からは宰相・春申君が名目上の総大将となり、大将軍・汗明が実戦部隊を率います。汗明は「楚の巨人」とも呼ばれる巨躯の持ち主で、自らを「中華最強」と豪語する豪傑です。さらに、媧燐という知略に長けた女将軍も参戦。
魏は前線に兵を展開し、韓は毒兵器を操る特殊部隊を投入。燕は大将軍・オルドが山岳戦の精鋭を率いて参戦します。
函谷関への進軍
秦国の東の守りの要は函谷関です。天然の要害に築かれたこの巨大な関所は、秦国が東方からの侵攻を防ぐ最終防衛線とも言える存在でした。
秦国は全軍を挙げて函谷関の防衛にあたります。総大将は蒙武。各戦線には騰、桓騎、王翦、張唐、麃公といった秦国の精鋭将軍たちが配置されました。
しかし、60万を超える合従軍の圧力は凄まじいものがありました。函谷関は堅固ですが、それでも五カ国の大軍が波状攻撃を仕掛けてくれば、いつまで持ちこたえられるかわかりません。
函谷関の攻防戦
函谷関での戦いは、複数の戦線で同時に繰り広げられる壮大な攻防でした。
蒙武は楚軍の大将軍・汗明と対峙します。汗明は自らを「中華最強」と称する巨漢の武将であり、その武力は本物でした。蒙武と汗明の一騎討ちは合従軍編における最大の個人戦の一つとなります。互いの全力がぶつかり合う壮絶な戦い。蒙武は息子・蒙恬の機転による援護もあり、死闘の果てに汗明を討ち取ります。この勝利により蒙武は「大将軍」の称号を手にすることとなりました。
騰は秦国六大将軍・王騎の遺志を継ぐ将として、函谷関の一角を守ります。沈着冷静な指揮と、いざという時に見せる圧倒的な武力で敵軍を押し返す。かつての副官が、独り立ちした将として存在感を発揮した戦いでした。
桓騎は持ち前の型破りな戦術で敵を翻弄します。正攻法では勝てない局面でも、奇策と心理戦で活路を見出す。元野盗の頭目ならではの、常識にとらわれない戦い方が光りました。
王翦は自らの持ち場を堅実に守りながら、戦況全体を冷徹に観察。目立つ活躍こそ少ないものの、全体の防衛ラインを維持するための要として機能していました。
韓の毒兵器に対しては張唐と桓騎が対応。韓軍は毒矢や毒煙といった特殊な兵器を使って秦軍を苦しめますが、桓騎の奇策によって退けられます。
麃公の奮戦と壮絶な最期
函谷関の戦いの中で、ひときわ鮮烈な戦いを見せたのが麃公です。
麃公は本能型の将の極致とも言える人物で、戦場の「炎」を読む天性の嗅覚を持っていました。理屈ではなく、武将としての直感で戦況を見抜き、最適な行動を取る。その戦い方は時に味方すら戸惑わせるほど破天荒でしたが、戦場においては常に正しい選択をしてきた男です。
合従軍編において、麃公は趙軍の李牧本隊と対峙します。そして李牧が戦場に放った切り札、武神・龐煖が麃公の前に立ちはだかりました。
龐煖は「武神」を名乗る異形の武人。戦場を一人で渡り歩き、敵将を一騎討ちで討ち取ることを生業とする存在です。かつて秦国六大将軍の摎を討ち、王騎にも致命傷を与えた化け物。その龐煖と、麃公は真正面から激突します。
二人の戦いは壮絶を極めました。麃公は本能型の将として、全ての感覚を研ぎ澄ませて龐煖に挑みます。しかし、龐煖の武は人間の域を超えていた。激闘の末、麃公は致命傷を負います。
それでも麃公は最後まで将としての矜持を捨てなかった。信に向かって自らの盾を投げ渡し、「行け、咸陽へ」と告げます。麃公は信の中に「火」を見出していたのです。大将軍の資質を持つ若者に、自分の意志を託して散る。その最期は、キングダム屈指の名シーンとして多くの読者の心に刻まれています。
李牧別動隊の奇襲――蕞への急襲
函谷関の攻防が続く中、李牧は恐るべき策を発動します。函谷関での戦いは実は「陽動」に過ぎなかったのです。
李牧は精鋭部隊を率いて函谷関を迂回し、南道から秦国の内部に侵入。秦の首都・咸陽を直接攻撃するという大胆不敵な作戦でした。函谷関に秦の主力が集中している今、咸陽を守る兵力はほぼ皆無。李牧の別動隊が咸陽に到達すれば、秦国は滅亡します。
この報せを受けた秦国は震撼しました。函谷関から兵を引けば関が突破される。かといってこのまま放置すれば首都が落ちる。絶体絶命の状況です。
李牧の進軍路上にある小さな城塞都市、蕞。ここで敵を食い止めなければ、もう後がない。しかし蕞には正規軍はほとんどおらず、守るのは民間人ばかりでした。
嬴政、蕞に立つ
ここで、キングダムという作品の真の主人公の一人が立ち上がります。秦王・嬴政です。
嬴政は自ら蕞に赴くことを決断します。王が前線に出るという行為は、もし王が討たれれば国そのものが崩壊することを意味します。側近たちは猛反対しました。しかし嬴政の決意は揺るがなかった。
「この蕞が落ちれば、次は咸陽だ。国が滅ぶ。ならば、王である俺が行かずして誰が行く」
蕞に到着した嬴政は、城壁の上に立ち、集まった民たちの前で語りかけます。彼らは兵士ではない。農民であり、商人であり、職人である。武器の扱いも戦の作法も知らない普通の人々です。
しかし嬴政は、彼らに「戦え」と命じるのではなく、「共に戦おう」と語りかけました。王自らが剣を取り、城壁に立ち、民と同じ場所で戦うと宣言したのです。
この場面は合従軍編の、そしてキングダム全体の中でも最も感動的なシーンの一つです。王が民に寄り添い、民が王のために立ち上がる。嬴政が目指す「中華統一」の理想が、言葉ではなく行動で示された瞬間でした。
蕞防衛戦――七日間の死闘
蕞での戦いは、過酷を極めました。
李牧率いる精鋭部隊に対して、蕞の防衛隊は圧倒的に不利。正規兵は少数で、大半が民間の志願兵です。武器も防具も不十分。しかし、嬴政が共に戦うという事実が、人々に信じられないほどの力を与えていました。
信も飛信隊を率いて蕞に駆けつけ、防衛戦に加わります。城壁の上で剣を振るう信の姿は、蕞の民たちにとって大きな希望でした。
戦いは七日間に及びました。昼は李牧軍の猛攻を凌ぎ、夜は疲労と恐怖の中で次の朝を待つ。毎日少しずつ防衛線が削られていく。仲間が倒れ、城壁が崩れ、体力が限界を迎える。
しかし蕞の民たちは折れなかった。嬴政が前線に立ち続ける限り、誰も逃げなかった。王と民が一つになった蕞は、李牧の精鋭軍をもってしても容易には落とせない「壁」と化していたのです。
楊端和の援軍――山の民の参戦
蕞が限界を迎えようとしていたその時、戦局を一変させる援軍が到着します。楊端和率いる山の民です。
山の民とは、秦国の西方の山岳地帯に住む民族集団。嬴政は物語の序盤で山の民と同盟を結んでおり、その盟約がこの絶体絶命の瞬間に実を結んだのです。
楊端和は「山界の死王」の異名を持つ女性の族長であり、山の民をまとめる圧倒的なカリスマの持ち主です。彼女が率いる山の民の戦士たちは、山岳戦に特化した精鋭であり、その戦闘力は中華の正規軍にも引けを取りません。
山の民の突然の参戦は、李牧にとって完全な想定外でした。蕞の民と秦軍が七日間耐え抜いたことで、楊端和の援軍が間に合った。李牧は撤退を決断し、合従軍の蕞攻めは失敗に終わります。
合従軍の崩壊
蕞での敗北と、函谷関での膠着状態。合従軍は秦国を滅ぼすという目的を果たせないまま、撤退を余儀なくされます。
もともと利害の異なる五国の寄せ集めである合従軍は、勢いを失えば瓦解するのも早い。各国は自国の損害を最小限に抑えるべく撤退を開始し、秦国は建国以来最大の危機を乗り越えたのです。
この勝利は秦国にとって、単なる防衛戦の成功以上の意味を持っていました。五国が束になっても秦を倒せなかったという事実は、中華における秦の地位を決定的なものとします。そして嬴政が蕞で見せた「王としての姿」は、秦国の民の間に広がり、後の中華統一への基盤となっていくのです。
見どころ
キングダム史上最大のスケール
合従軍編は、敵味方合わせて100万に迫る大軍が激突するという、キングダム最大規模の戦いです。函谷関という巨大な舞台で複数の戦線が同時展開される構成は、まるで大河ドラマを読んでいるかのような壮大さ。各戦線にそれぞれドラマがあり、10巻にわたる長編でありながら一瞬たりとも退屈させません。
嬴政の「王としての覚醒」
合従軍編の真のクライマックスは、蕞での嬴政の姿にあります。普段は政治の世界で戦う嬴政が、自ら剣を取り、民の前に立ち、共に戦う。この場面はキングダムにおける嬴政の存在意義そのものを体現しています。信が「武」の道で大将軍を目指すなら、嬴政は「王」の道で中華統一を目指す。二人の主人公の道が、蕞で交差する瞬間です。
各将軍の個性が際立つ群像劇
蒙武の圧倒的武力、騰の冷静な指揮、桓騎の奇策、麃公の本能的な戦い。函谷関では秦国の将軍たちがそれぞれの持ち味を最大限に発揮して戦います。一人一人にスポットライトが当たり、どの戦線を読んでも手に汗握る展開が待っている。群像劇としての完成度が極めて高いエピソードです。
麃公と龐煖の宿命的な対決
麃公の最期は、合従軍編で最も胸を打つシーンの一つです。本能型の将として戦場を駆け抜けた男が、武神・龐煖という人知を超えた存在に挑み、散っていく。しかし麃公は敗北の中でも信に盾を託し、未来を繋ぎました。「将」から「将」へ意志が受け継がれるこの瞬間は、キングダムの核心をなすテーマです。
楊端和と山の民の絆
蕞が限界を迎えた瞬間に現れる楊端和の援軍は、カタルシスの塊です。物語序盤で嬴政が山の民と結んだ同盟が、この極限の状況で報われる。伏線回収としても、物語の構成としても見事。七日間耐え抜いた先に訪れる希望の瞬間は、何度読んでも目頭が熱くなります。
名シーン・名言
嬴政の蕞での演説
嬴政が蕞の民を前に語りかける場面は、キングダム全編を通じて最も有名なシーンの一つです。王が民と同じ目線に立ち、共に戦うと宣言する。その言葉に、武器を持ったこともない人々が立ち上がる。「国」とは領土のことではなく「人」のことだという、嬴政の信念が結実した瞬間です。
蒙武vs汗明の一騎討ち
「中華最強」を自称する汗明と、秦の怪物・蒙武の激突。二人の巨漢が全力でぶつかり合う迫力は、紙面が揺れるかと思うほどの凄まじさです。蒙武が勝利を収め「大将軍」となるこの一騎討ちは、蒙武ファンにとって最高の見せ場でした。
麃公が信に盾を託す
龐煖との死闘の末、致命傷を負った麃公が信に盾を投げ渡す場面。「行くな」と叫ぶ信に対して、麃公は静かに「行け」と告げる。将の意志を次世代に繋ぐ、キングダムの核となるシーン。麃公の盾は、後に信にとって大きな意味を持つ存在となります。
李牧の撤退
天才軍師・李牧が蕞攻略を断念する瞬間。山の民の参戦という想定外の事態に直面した李牧が、冷静に撤退を決断する姿は、敗北してなお李牧の恐ろしさを感じさせます。彼はこの敗北から学び、次の戦いに活かしてくる。そう確信させるだけの存在感が、撤退シーンにも滲んでいました。
函谷関での騰の宣言
王騎の副官から独り立ちした将として函谷関を守り切った騰。その戦いぶりは、かつての主・王騎の遺志を継ぐにふさわしいものでした。寡黙な男が見せる気迫は、言葉少なであるがゆえに深い重みを持っています。
キャラクター解説
嬴政(えいせい)
秦の第31代国王にして、後の始皇帝。合従軍編では、王としての覚悟を最も鮮烈に示しました。自ら蕞に赴き、民とともに戦うという決断は、政治家としてだけでなく、一人の人間としての嬴政の強さを証明するものです。「中華統一」という壮大な目標に向かって、言葉だけでなく行動で示し続ける王。信とは異なるもう一人の主人公として、この合従軍編で真の輝きを放ちました。
李牧(りぼく)
趙国の天才軍師。合従軍を組織し、秦を滅亡寸前まで追い込んだ張本人です。冷静な知略と大胆な発想で、函谷関の陽動と蕞への奇襲という二段構えの策を立案。山の民の参戦という想定外によって蕞攻略は失敗しますが、その軍略の恐ろしさは秦国に深く刻まれました。この後も秦国にとって最大の脅威であり続ける存在です。
蒙武(もうぶ)
秦国の猛将。圧倒的な武力を誇り、合従軍編では楚の大将軍・汗明を一騎討ちで撃破するという大殊勲を挙げます。この功績により「大将軍」の称号を獲得。力こそ全てという信念の持ち主ですが、息子・蒙恬に対しては不器用ながらも親としての情を見せる場面もあります。
麃公(ひょうこう)
秦国の大将軍。「本能型」の将の極致であり、戦場の流れを直感で読み取る天才。合従軍編では趙軍と対峙し、武神・龐煖との一騎討ちに臨みます。その戦いは壮絶を極め、最後は信に盾を託して散りました。大杯で酒を飲む豪快な人物であり、信の中に「将の火」を見出した人物として、その死は物語に大きな影を落とします。
龐煖(ほうけん)
「武神」を名乗る趙国の異形の武人。一対一の戦闘において人知を超えた強さを持ち、秦国六大将軍の摎や王騎にも致命傷を与えた実績を持ちます。合従軍編では麃公を討ち取り、その圧倒的な武を見せつけました。信にとっては王騎の仇であり、いずれ必ず決着をつけなければならない宿敵です。
騰(とう)
かつて秦国六大将軍・王騎の副官を務めた将軍。王騎亡き後、その遺志を継いで独り立ちし、合従軍編では函谷関の一角を守り抜きました。普段は飄々とした態度ですが、戦場に立つと一変。冷静沈着な指揮と、いざという時の圧倒的な武力を兼ね備えた、秦国屈指の実力者です。
楊端和(ようたんわ)
山の民を統べる女性の族長。「山界の死王」の異名を持ち、山の民をまとめるカリスマと高い戦闘力を兼ね備えています。合従軍編のクライマックスで蕞に援軍として駆けつけ、秦国存亡の危機を救いました。嬴政との盟約を守り抜いた義の人物であり、後の秦国の戦いにおいても重要な同盟者となっていきます。
汗明(かんめい)
楚の大将軍。「中華最強」を自称する巨漢の武将。その武力は本物であり、蒙武との一騎討ちは合従軍編における最大の個人戦となりました。最後は蒙武に討たれますが、その圧倒的な存在感は読者に強い印象を残します。
桓騎(かんき)
元野盗の首領から将軍にまで上り詰めた異色の存在。合従軍編では函谷関の一角を守り、型破りな戦術で韓軍を退けます。張唐と組んでの韓軍撃退は、桓騎の奇策が冴え渡った名場面です。
まとめ
合従軍編は、キングダムという作品のターニングポイントであり、多くのファンが「最高傑作」と称するエピソードです。
その理由は明確です。この10巻にわたる大長編には、キングダムの全ての魅力が凝縮されている。将軍たちの一騎討ち、知略と知略のぶつかり合い、国家の存亡を賭けた壮大なスケール。そして何より、嬴政が蕞で見せた「王の姿」。王が民と共に戦い、民が王のために立ち上がる。この構図は、嬴政が目指す「中華統一」の本質を雄弁に物語っています。
麃公の壮絶な最期は、「将の意志は受け継がれる」というキングダムの根幹テーマを体現するものでした。麃公が信に盾を託す場面は、王騎が信に矛を託した場面と重なり、信という若者が多くの大将軍たちの思いを背負って成長していく物語のラインを強化しています。
函谷関と蕞という二つの戦場が同時進行する構成は、読者を飽きさせることなく、常に新たな緊張感を提供し続けます。蒙武vs汗明の武の激突、李牧の恐るべき戦略、騰や桓騎の個性的な戦い方。どの戦線を見ても手に汗握る展開が待っており、10巻という長さを感じさせない密度の濃さです。
単行本24巻から33巻に収録されたこの壮大な防衛戦は、キングダムをまだ読んでいない方への最高の推薦理由であり、既読の方にとっても何度でも読み返したくなる不朽の名編です。秦国がこの危機を乗り越えたからこそ、物語は中華統一という夢に向かって加速していきます。
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