ダンダダン

【ネタバレ解説】ダンダダン ターボババア・セルポ星人編|幽霊派×宇宙人派の最強タッグ誕生

導入部分

「幽霊なんていねーし」「宇宙人なんていないし」――オカルトを巡る信念が正反対の二人の高校生が、とんでもない超常現象の渦に巻き込まれていく。

2021年4月、少年ジャンプ+で連載を開始した龍幸伸の『ダンダダン』は、幽霊も宇宙人も全部実在する世界で繰り広げられるオカルティック怪奇バトル漫画です。最新話の更新ごとに100万閲覧を突破し、累計発行部数は1200万部を突破。全国書店員が選んだおすすめコミック2022で第1位に輝くなど、2020年代のジャンプ+を代表する看板作品となっています。

本作の魅力は、圧倒的な画力で描かれるケレン味たっぷりのバトルと、思春期の少年少女の繊細な感情描写が同居しているところ。怪奇現象のスケールがインフレしていく爽快感と、キャラクターたちの青春模様がどちらも高いレベルで両立しています。

この記事でわかること

  • モモとオカルンの出会いと超能力覚醒の経緯
  • ターボババアの呪いとその影響
  • セルポ星人との戦いの全貌
  • アクロバティックさらさらとの壮絶な決戦
  • 邪視と鬼頭家の呪い
  • ジジの登場と恋愛模様の始まり

読了時間:約20分 | おすすめ度:★★★★★


基本情報

【ターボババア・セルポ星人編 基本情報】

  • 収録:単行本1巻〜7巻
  • 連載誌:少年ジャンプ+(集英社)
  • 作者:龍幸伸
  • 連載開始:2021年4月6日〜
  • 主要キャラ:綾瀬桃(モモ)、高倉健(オカルン)、星子(ドドリア三太)、ターボババア、セルポ星人、バモラ、アクロバティックさらさら、円城寺仁(ジジ)、邪視
  • 核となるテーマ:オカルト×SF、青春と恋愛、超常現象との共存、仲間の絆
  • 受賞歴:全国書店員が選んだおすすめコミック2022 第1位

あらすじ

ここから先、ターボババア・セルポ星人編の重大なネタバレを含みます。未読の方はご注意ください。

モモとオカルンの出会い――幽霊派VS宇宙人派

物語は、正反対のオカルト信仰を持つ二人の高校生の出会いから始まります。

綾瀬桃(モモ)は霊媒師の祖母を持つ女子高生。幽霊の存在を信じていますが、宇宙人はいないと断言します。一方、クラスの隅でオカルト雑誌を読む陰キャの高倉健(通称オカルン)は、宇宙人の存在を信じているものの、幽霊は否定しています。

ある日、いじめられているオカルンをモモが助けたことをきっかけに、二人はお互いの主張を証明するために行動を起こします。モモは宇宙人スポットのトンネルへ、オカルンは心霊スポットの廃病院へ。お互いの信じるものが「いない」ことを証明するはずが、結果は正反対でした。

モモはトンネルでセルポ星人に遭遇し、オカルンは廃病院でターボババアに取り憑かれてしまいます。幽霊も宇宙人も、どちらも実在したのです。

ターボババアの呪い――オカルンの変身

ターボババアに取り憑かれたオカルンは、体を乗っ取られて暴走を始めます。しかしターボババアの力はオカルンの肉体にも影響を与え、結果として超人的な身体能力を獲得。ターボババアの「走る力」がオカルンに宿ったのです。

一方、モモはセルポ星人の襲撃から逃げる中で、祖母から受け継いだ霊的な力が覚醒。念動力(サイコキネシス)を発現させます。こうして、ターボババアの力を宿すオカルンと、超能力に目覚めたモモのコンビが誕生しました。

ターボババアの呪いを解くためには、星子(自称エセ霊媒師、実力は本物)の力が必要でした。星子の協力により、ターボババアは力だけをオカルンの体に残し、意識は招き猫に封じ込められます。これによりオカルンは、ターボババアの力を自在にコントロールできるようになりました。

セルポ星人の脅威

セルポ星人はモモを最初に襲った宇宙人で、「プロジェクト・セルポ」に由来するその名の通り、地球外から飛来した知的生命体です。セルポ星人の種族は雄しか存在せず、クローン技術で個体を増やしているため、生物としての進化が停滞しています。地球人の生殖機能を研究するために人間を誘拐・解剖するという、おぞましい目的を持っていました。

セルポ星人はオカルンの「金玉」を奪取するという、少年漫画とは思えない衝撃的な展開を見せます。オカルンの金玉を取り戻すことが、序盤の大きな目的の一つとなるのです。このあまりにも下品で馬鹿馬鹿しい設定を、龍幸伸は圧倒的な画力とテンポの良さで描き切り、ギャグとシリアスの境界を見事に踏み越えています。

バモラとの戦い

セルポ星人の仲間とみられるバモラも、オカルンを狙って襲撃してきます。相撲取りのような恰好をした巨大な宇宙人で、圧倒的な膂力でモモとオカルンを追い詰めます。しかしモモの機転により結界術を発動させ、バモラを撃破。二人のコンビネーションが初めて光った戦いでした。

アクロバティックさらさら――最初の大敵

序盤最大の敵として立ちはだかるのが、アクロバティックさらさらです。「さらさら」のような長い髪を持つ恐ろしい怪異で、その戦闘力はターボババアやセルポ星人とは比較にならないほど強大。

アクロバティックさらさらとの戦いでオカルンは瀕死に追い込まれますが、モモの力でアクロバティックさらさらのオーラを取り込んで復活。この戦いは、モモとオカルンの絆が試される最初の大きな試練であり、二人が互いの力を信じ合うことで乗り越えるという、本作の基本構造を確立したエピソードです。

邪視と鬼頭家の呪い

物語は新たな脅威へと進みます。「邪視」と呼ばれる存在が登場。邪視は「山の怪」とされる神に近い存在で、その邪眼は人を自殺に追い込むほどの恐ろしい力を持っています。

邪視は、モモの幼なじみである円城寺仁(ジジ)に取り憑きます。ジジは両親が入院したために綾瀬家に泊まりに来るのですが、その体にはすでに邪視の影響が及んでいました。

鬼頭家という旧家の呪いと邪視は深く関わっており、その呪いを解くためにモモたちは鬼頭家の歴史と向き合うことになります。このエピソードは、単なるバトルではなく、日本の土着的な怪異伝承の恐ろしさを前面に出した展開で、本作のホラー要素が最も色濃く出ている部分です。

ジジの登場と恋愛模様

円城寺仁(ジジ)の登場は、物語に恋愛要素を持ち込みます。ジジは常にハイテンションでおちゃらけた人物ですが、幼少時代のモモの初恋相手であり、現在はモモに好意を抱いています。

オカルンにとって、ジジの存在は複雑です。オカルンはモモに淡い想いを寄せていますが、ジジという「イケメンの幼なじみ」が現れたことで、その感情は揺さぶられます。さらにジジの体には邪視が取り憑いており、ジジを救うためにはモモとオカルンが力を合わせなければなりません。

恋のライバルを救うために命をかけるという、切なくも熱い展開が繰り広げられます。


この編の見どころ

圧倒的な画力が生む「動きのある漫画」

龍幸伸の画力は、連載開始時から漫画界で話題になっていました。特にバトルシーンの迫力は圧巻で、見開きページの構図力、スピード感のある描線、怪異や宇宙人のデザインセンス、どれをとっても超一級品です。

龍幸伸は『チェンソーマン』の藤本タツキや『地獄楽』の賀来ゆうじのアシスタントを経験しており、その経歴からも確かな画力の裏付けがあります。しかし師匠たちとは異なる独自のスタイル――緻密な描き込みとダイナミックな構図の共存――が、ダンダダンならではの視覚体験を生んでいます。

下品さとシリアスのバランス

本作の最大の特徴は、下品なギャグとシリアスなドラマが同居していることです。オカルンの金玉を取り戻す話と、邪視に取り憑かれたジジを救う話が、同じ作品の中に同じテンションで存在している。普通なら破綻しそうなこの組み合わせが、龍幸伸の手にかかると見事に成立するのです。

その秘密は、キャラクターの感情に嘘がないこと。どんなに馬鹿馬鹿しい状況でも、モモとオカルンは本気で戦い、本気で悩んでいる。その「本気さ」が、下品さをコメディとして機能させ、シリアスを感動として届けています。

思春期の恋愛描写の繊細さ

オカルトバトルの合間に差し込まれる恋愛描写は、驚くほど繊細です。モモに対する好意を言葉にできないオカルンの不器用さ。ジジの登場で揺れるモモの心。三角関係の予感が、怪異との戦いの緊張感とは異なる種類のドキドキを読者に与えます。

龍幸伸は、バトル漫画家としてだけでなく、青春ラブコメの作家としても一流であることを証明しています。


印象的な名シーン・名言

モモとオカルンの初戦闘(1巻)

セルポ星人とターボババアに同時に襲われる中、モモの超能力とオカルンのターボババアの力が初めて噛み合う瞬間。二人の息が合った連携攻撃は、その後のコンビネーションの原点です。

ターボババアの疾走(1巻)

ターボババアの力が発動し、オカルンが超速で走り出す場面。都市伝説の「100キロババア」をモチーフにした怪異が、ここまでかっこいいバトル要素になるとは誰も予想しなかったでしょう。

アクロバティックさらさら戦でのオカルン復活(4巻)

瀕死のオカルンがモモの力で復活し、アクロバティックさらさらに立ち向かう場面。「おまえを守る」という言葉にならない想いが、拳に込められています。

オカルンの「俺はただ、綾瀬さんの隣にいたいだけだ」(5巻)

ジジの登場で自分の気持ちを自覚したオカルンの、心の中の独白。声に出せない想いだからこそ、読者の胸に深く刺さります。

邪視の恐怖描写(6巻)

邪視の邪眼が発動し、見た者が自殺衝動に駆られる場面。ホラー漫画としてのダンダダンの真骨頂が発揮された、背筋が凍るような描写です。


キャラクター解説

綾瀬桃(モモ)

霊媒師を祖母に持つ女子高生。幽霊の存在を信じているが、宇宙人は否定していた。セルポ星人との遭遇をきっかけに超能力(念動力)が覚醒。気が強く正義感が強い性格で、いじめられているオカルンを助けたことが物語の始まり。戦闘では念動力を攻守に使いこなし、オカルンとの連携で強敵を倒していく。恋愛面ではオカルンの好意に鈍感で、幼なじみのジジの存在もあって複雑な立場にいる。

高倉健(オカルン)

オカルトマニアの男子高校生。宇宙人の存在を信じているが、幽霊は否定していた。廃病院でターボババアに取り憑かれ、超人的な身体能力を獲得。普段は陰キャで口下手だが、モモが危険にさらされると命を顧みず戦う熱い一面を持つ。モモに好意を抱いているが、うまく伝えられない。「オカルン」というあだ名はモモが付けたもの。

星子(ドドリア三太)

自称エセ霊媒師だが、実力は本物。ターボババアの力をオカルンの体に封じ込める術を行うなど、モモたちの頼れるサポーター。「ドドリア三太」という霊媒師としての名前を持ち、胡散臭い雰囲気を漂わせているが、肝心な場面では確かな力を発揮する。

円城寺仁(ジジ)

モモの幼なじみで、幼少時代のモモの初恋相手。常にハイテンションで明るい性格だが、モモへの想いは本物。邪視に取り憑かれたことで物語に巻き込まれ、モモとオカルンに救われる。その後は仲間としてオカルト戦線に参加。オカルンにとっては恋のライバルでもある。

ターボババア

都市伝説「100キロババア」をモチーフにした怪異。オカルンに取り憑いて暴走するが、星子の術により意識は招き猫に封じられ、走る力だけがオカルンに残った。フォージャー家でいうところのボンドのような、マスコット的な存在にもなっている。

邪視

「山の怪」と呼ばれる神に近い存在。邪眼で人を自殺に追い込むほどの恐ろしい力を持つ。ジジに取り憑き、モモたちを脅かす。日本の土着的な怪異伝承に根ざしたデザインと設定が、本作のホラー要素を象徴している。


まとめ

ターボババア・セルポ星人編は、『ダンダダン』という作品の魅力を一気に提示する、エネルギーに満ちた導入部です。

幽霊も宇宙人もどちらも実在する世界で、正反対の信条を持つ二人の高校生がタッグを組む。この設定だけで面白いのに、龍幸伸はそこに圧倒的な画力と、思春期の繊細な感情描写を加えてきます。下品なギャグで笑わせた次のページで、切ない恋心を描く。そのギャップの激しさこそが、ダンダダンの唯一無二の個性です。

ターボババア、セルポ星人、バモラ、アクロバティックさらさら、邪視と、次々に登場する怪異や宇宙人のデザインも見事。日本のオカルト文化とSFを融合させた独自の世界観は、読むたびに新しい発見があります。

そしてモモとオカルンの関係性。二人はまだ付き合ってもいないし、告白もしていない。しかし命がけの戦いの中で育まれた信頼は、どんな恋愛漫画よりも説得力があります。

続く怪獣・バモラ編では、巨大ロボや口裂け女など、さらにスケールアップした展開が待っています。

この編を読むなら

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1巻

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